2011年 09月 19日
陶芸家伊藤公象先生の展覧会が富山県入善町の発電所美術館で開催され、一昨日オープニング式典に出席しました。先生とは6年ほど前に完成した津幡町のシグナスでコラボして以来のおつきあいで、茨城にある先生のアトリエにも訪問したこともあります。また金沢に来られるたびに食事などを一緒させて頂いています。 先生は徹底的に「土」にこだわりを持っています。作為を排して自然が創り出す土の表情を活かした数多くの優れた作品があります。今回は発電所を美術館にリニューアルしたという極めてユニークな場での展覧会です。床一面に円形に並べられたひとつひとつ異なる作品群は、総体としてひとつの街を創っているようで、極めて感動的なシーンを創り上げていました。私が丁度今取り組んでいる障害者授産施設の設計と重なり、一層自分とものとして捉えられたのかもしれません。この授産施設を計画している社会福祉法人の雄谷理事長の思いは「障害者も健常者も区別なく生活する街」をつくることです。これは言うは易しで、このような街が理想だと考えている福祉関係の方は大勢いらっしゃると思いますが、実際にそこに手を付けた人はいないと思います。今基本構想を練っているところですが、私はこの理事長の哲学に多いに共鳴を覚えると同時に、実行に移す行動力には深い尊敬の念を抱いており、ライフワークとして取り組みたいと思っています。 先生の床一面に並べられた作品をじっと見ていると、大きく三つのブロックがあるのですが、その境界は一部入り組んでおりあやふやです。そしてこの三つのブロックの中は、やはりひとつひとつが同じ様な形態でありながら全て違っている作品が並べられているのですが、総体としてあるまとまり、同質感が感じられます。まさに人間世界でも同じだなあと思いました。 先生にこの三つの境界をなくし、全てがごちゃ混ぜの作品はできないでしょうか?なんて失礼も顧みず質問してしまったのですが、それも私の取り組んでいる施設が「ごちゃ混ぜ」がキーワードになっているからです。単なる「ごちゃ混ぜ」ではアナーキーな世界に入り込んでしまう危険性があります。どこかで秩序が必要です。しかし、ひとつひとつは人間と一緒でみんな違っている。違っていながら「緩やかに共生」する街、そういったものを今目指しているところです。 先生は現在79才ですが、ものすごくお元気です。先生のお人柄を多くの学生が慕っており、そういった若い作家を育ててこられたのも先生の大きな功績だと思います。 実は先生の故郷金沢で作品を常設展示できる場をつくることに私は強い意欲を持っています。いつしか実現したいと思っていますので、先生には、まだまだご活躍願わなければなりません。 発電所美術館吹き抜けからみた作品 作品のディテール
by goi-51
| 2011-09-19 18:33
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