2014年 11月 26日
古い世界遺産の町オーストリアのザルツブルグからブタペストに向かう車中は、相変わらず山並みの風景が続きました。が、あるところで突然風力発電の風車が顕れ、延々と(多分二十キロ以上だと思いますが)続いていました。聞くところによるとオーストリアは原子力に頼らないエネルギー政策を実施しており、そのために風力発電施設を大々的に建設しているとのことでした。オーストリアは国土の多くが山林であり、そのためこれをどう活かしてエネルギーを生み出すか永らく考えて来たようです。そこから出てきたものがパレットを使った暖房機器であり、木材の高層建築への適応であり、また風力発電です。翻って日本を考えて見ますと、国や地域の進むべきそのあたりの路が曖昧なようです。 藻谷浩介さんが「里山資本主義」で述べられたように、「お金に換算できない価値」を見いだすことこそ今私たちに求められている気がします。地域の資源を活かし、国民の安全な生活を目指しているオーストリアは多いに参考にすべきではと車窓の風景を眺めながら思いました。 延々と続く風力発電施設 長閑な牧歌風景 #
by goi-51
| 2014-11-26 09:08
2014年 11月 24日
久しぶりに海外に出ました。スイスのチューリッヒから東へ向かい、オーストリアを縦断する形でブタペストに入りました。途中オーストリアのゴッサウ、ルーデッシュという耳慣れない町で宿泊し、オーストリアにおける地産地消の木材事情とCLT建築を視察しました。長い電車移動での車窓の景色はいかにもヨーロッパの山並みを行くという感じで、教会を中心とした小さな山あいの村々は、牧草地に牛たちがのんびりと草を噛み、旅情の成せる技かもしれませんが、グローバリズムとか新自由主義とか言う経済社会とかに関係なく忙しない現代という時間を忘れて生きているように見える人々の生活が本当にいいなと思いました。 電車移動中は「教会のある風景」というテーマで写真を撮り続けました。移動中で写真の精度がいまいちですが、街々の中心に教会が常にあることがよく分かります。 教会のある風景1 教会のある風景3 #
by goi-51
| 2014-11-24 16:25
2014年 10月 24日
里山資本主義でNHKの番組でも取りあげられた銘建工業のCLT工場の視察で岡山県真庭市を訪問する機会がありました。CLTはオーストリアを始めとする欧州で実践されている工法で、今後高層の木造建築を可能ならしめる技術として注目が集まっています。木造の良さは木組みであると常々思っているので、木を全て耐火材料で囲ってしまうのでは木造の意味がありません。耐火性能を確保しながらどういう風に木組みを見せられるかが課題です。日本では取り組まれたばかりなので今後の技術開発に期待するところです。 さて、真庭市は初めて訪れたのですが、木材を主体とする産業で繁栄をしていたころの街並みが勝山町で残されています。旭川沿いに高瀬舟で木材を搬出したというその街並みは、川沿いから見る方が楽しく感じました。生活の一部になって川を中心にした活動が感じられます。金沢の犀川中心部に建築された建物の多くが川に対してそっぽを向いているのと大きな違いです。それは川の生活と無関係な店々がそこに立地したからでしょう。川と一体をなす風景は心に残りました。 旭川沿いから見た勝山の街並み #
by goi-51
| 2014-10-24 09:04
2014年 10月 23日
奈良に行く機会があり、ふたつの伝統的建造物地区を廻りました。ひとつは室町時代を起源にもつ橿原市今井町です。約300m×600mの大きな地区で面的に伝統的形態の街並みが残っているのはさすが古都奈良です。地区内を廻ると、もちろん飲食や商売をやっている店はあるものの、そこには住む住民の生活が前面にでていわゆる観光地化していないところが素晴らしいと感じました。この街のアイデンティテーを住民自身が理解し、商売風情を許さない伝統があるように思います。街並みとしては統一的で厳しい形態コードは感じられなく、全体的な調和を図っているところがいいと思いました。 それから奈良市のならまちです。正式にはならまちという町は存在せず、元興寺の旧境内を中心にした一体を指します。江戸時代から明治にかけての古い街並みが現在に残る所として有名ですが、街の中心地近くにあるという立地性から、かなり新しい建築物が混在しています。こういった新しい建築が古い街並みと調和を図っていくことが重要なのですが、残念ながらマンションを主とした新しい建築の質がよくありません。 新旧の混在する場所では建築主や設計者の土地に対する愛情と建築の感性とが問われることと、あらためて思いました。 妻入り・平入りが混在する緩いコードで調和する今井町 新旧の建築が混在するならまち #
by goi-51
| 2014-10-23 12:05
2014年 09月 20日
ある石屋さんの石置き場に行く機会がありました。石も驚くほど多様なものであり、当然ながら同じ物はひとつもありません。手取産、京都産、岐阜産、奈良産・・・・よくこれだけ集めたものと感心するばかりでした。その中で「さざれ石」という石を初めて目にしました。日本国歌「君が代」の中で「君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」と謳われたあの「さざれ石」です。恥ずかしいことに今まで「さざれ」と「石」を分かれた語句と理解をしていて「さざれ石」なるものがこの世に存在するとは考えてもみませんでした。まことに恥ずかしい限りです。「君が代は千年も八千年も、細石が大きな岩になってそれにさらに苔が生えるほどまで、長く長くずっと続きますように」という歌だとあらためて勉強した次第です。 「君が代」の「君」が何を指すのか?という問題で国歌として相応しいのかどうかという議論が長い間続きました。国歌としての位置付けが不明確な時代に初等教育を受けた私たちの世代では「君が代」がどんな意味をもつのか深く教育されたこともなければ、進んで学習したこともありませんでした。 それにしても還暦を過ぎた今日に至るまで何にも知らなかったことに情けなさを感じました。 真ん中の白く見えるのがさざれ石です #
by goi-51
| 2014-09-20 13:07
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